「文庫」の紹介
多額の寄付金及び多数の資料寄贈等により、図書館建設や運営発展にご尽力賜った皆さまに感謝し、その功績を長く称えるため、お名前を冠して設けています。現在7文庫を設けています。(敬称略)
相川(あいかわ)文庫
相川道之助氏(あいかわ みちのすけ 1900~1994)市内北町(旧赤穂村)出身
木下清太郎氏の次男として生まれ、大正11年に東京日本橋の相川家の婿養子となる。昭和16年、東邦亜鉛に入社した後、社長となる。
昭和27年赤穂町(現駒ヶ根市)に新築の郷土館(図書館・博物館併設)を寄付され、当地の図書館活動が飛躍的に推進された。次いで同37年に相川文庫基金
を寄付、40年・49年・56年にも寄付を寄せられ増額した。これにより各種資料が多数購入でき、館資料の大幅な充実が図られた。
昭和61年、現在館の建設に伴い、その功績を称えて彫刻家瀬戸団治氏の制作によるレリ-フを玄関ロビーに設置。
加島(かじま)文庫
加島祥造氏(かじま しょうぞう 1923~2015)東京都神田生まれ、市内中沢区
詩人・翻訳家・タオイスト・墨彩画家。
早稲田大学文学部英文科卒業。米国カリフォルニア州クレアモント大学院終了。信州大学、横浜国立大学、青山学院女子短期大学で英米文学を教える。英米文学の翻訳では、ウィリアム・フォークナー、マーク・トウェーン、アガサ・クリスティ等100点以上を手がける。
出版は、平成5年「老子道徳経」を翻訳した「タオ・ヒア・ナウ(PARCO出版)」、同12年老子81章の完全訳自由詩「タオ - 老子(筑摩書房)」等多数あり、特に同19年出版の「求めない(小学館)」はロングセラーとなっている。
平成2年より当市中沢区に居住し、伊那谷の心象風景や自然を描き、老子の言葉や自らの詩を添えた墨彩画(ぼくさいが)は独特の世界観をつくった。同24年
に開催された「図書館
加島祥造講演会」と、隣接の博物館で開催された「加島祥造文人画展」を機に、所蔵する多数の書籍の寄贈を受け、25年に「加島文庫室」を設けた。
小林(こばやし)文庫
小林堯彦氏、小松美紗子氏(こばやし あきひこ、こまつ みさこ)
当市赤穂中割区出身の小林勇氏(こばやし いさむ1903~1981 元岩波書店会長、随筆家、文人画家)の長男・長女。
昭和57年小林勇文集(6冊)をはじめ、故人の蔵書である斉藤茂吉全集(35冊)、幸田文全集(44冊)、志賀直哉全集(15冊)、漱石全集(26冊)、
谷崎潤一郎全集(28冊)等々、多数の全集や文学書を寄贈された。また、同61年の現在館開館によせて、故人の描く絵画「向日葵」を寄贈された。
竹村(たけむら)文庫(教科書)
竹村進氏(たけむら すすむ 1918~2006)市内北割一区
公認会計士、税理士、郷土史研究家。
20数年にわたり収集された教科書約14,000冊を平成5年に寄贈された。
教科書は、江戸時代の藩校や寺小屋時代のものから、明治時代の木版・和とじのもの、福沢諭吉が海外から持ち込んだ洋書を使った英語の教科書、戦後間もなく
の「墨塗りの教科書」のほか、朝鮮総督府が発行した教科書など、歴史的にも大変貴重な資料であり「竹村文庫室」を設けて保管している。
田皐(でんこう)文庫
北原久次郎氏(きたはら ひさじろう 1857~1930)市内下平区
酒造業の傍ら、学務委員として館の創立育成に尽力された。
昭和7年、遺族が氏の遺志を継ぎ、赤穂図書館基金を寄付。その益金にて図書を購入し、基本図書の充実が図られた。昭和61年7月の現在館建設に際しても、子息の北原久爾(きたはら ひさじ)氏より多数の図書が寄贈された。
平成26年にも同氏より市に多額の寄付が寄せられ、文庫が更に充実している。
「田皐/北原家の屋号(皐=沢)」
中城(なかじょう)文庫
中城龍雄氏(なかじょう たつお 1903~1993)北海道生まれ
父の郷里である当市で小学校教員となった後、大正13年に上京。主婦の友社記者を振り出しに、出版業務に携わるほか、多くの民主団体の役員を務める。
昭和50年、中城文庫基金を寄付され、その益金を図書購入費に充当する。他にも、マルクス・エンゲルス全集(30冊)をはじめ、新版レ-ニン選集(6冊)、世界文化大百科事典(12冊)等の2,000冊を越す図書を寄贈された。
松﨑(まつざき)文庫
松﨑茂夫氏(まつざき しげお 1913~2010)市内中央(旧赤穂村赤穂)出身
東京都北区、包装資材会社会長。
平成12年8月、米寿を迎えた記念に、郷里の発展を願って教育文化振興資金として多額の寄付を寄せられる。館内に市費にて情報コ-ナ-を新設し、寄付金か
らパソコン及び関連機器を購入。情報通信関係の図書約200冊も「松﨑文庫」として購入した。これに合わせて、館の表正面(東側)にブロンズ像「慈愛」
(じあい 中村喜平氏作)を設置した。